個人輸入した薬を服用したあと、「気分が悪くなった」「いつもと違う症状が出た」と感じた場合、どうすればよいのでしょうか。
個人輸入薬は、国内の医療機関で処方された薬とは異なり、医師や薬剤師による事前確認を受けずに使用されることがあります。また、日本で承認されていない医薬品や、表示どおりの成分が含まれているか確認できない製品も存在します。
そのため、体調に異変が現れたときは「しばらく様子を見れば大丈夫」と自己判断するのではなく、適切に対応することが重要です。
この記事では、個人輸入薬を使用して体調に異変を感じた場合の基本的な考え方や、医療機関を受診するときに伝えておきたい情報について解説します。
個人輸入薬にも副作用のリスクがある
そもそも医薬品には、国内承認薬であっても副作用が起こる可能性があります。
代表的な症状としては、
- 頭痛
- 吐き気
- めまい
- 動悸
- 発疹やかゆみ
- 腹痛や下痢
などがあります。
薬によって起こり得る症状は異なり、まれに重篤な健康被害につながることもあります。
個人輸入の場合は、さらに**「購入した製品の品質や成分を日本の制度の中で確認できない可能性がある」**という問題が加わります。
「いつも使っている薬だから大丈夫」とは限らない
以前使用して問題がなかった薬でも、個人輸入品の場合は注意が必要です。
同じ商品名や似たパッケージであっても、
- 製造元が異なる
- 有効成分の含有量が異なる
- 日本国内の製品と添加物が異なる
- 保管・輸送状態に問題がある
- 偽造品である
といった可能性を完全には排除できません。
見た目だけで「いつもの薬と同じ」と判断しないことが重要です。
異変を感じたら使用を中止する
個人輸入薬を使用したあとに明らかな体調変化が現れた場合は、追加で服用して様子を見るのではなく、使用を中止して医療機関や薬剤師などの専門家に相談することが基本です。
特に、
「効いていないから量を増やしてみよう」
と自己判断することは危険です。
効果を感じない原因が「有効成分が少ない」ためとは限りません。反対に、表示より多くの成分が含まれている可能性も考えられます。
強い症状がある場合は速やかに医療機関へ
次のような重い症状がある場合は、自己判断で経過観察せず、速やかに医療機関を受診することが重要です。
- 呼吸が苦しい
- 意識がおかしい
- 激しい動悸や胸の痛み
- 顔や喉などが腫れる
- 全身に強い発疹が出る
- けいれん
- その他、急激で強い体調変化
緊急性が高い場合は、救急医療を利用する必要があります。
受診するときは「個人輸入薬を使用した」と伝える
個人輸入薬による健康被害で特に重要なのが、医療機関に使用した薬の情報を正確に伝えることです。
「海外から買ったことを言いにくい」と感じる人もいるかもしれません。
しかし、医師が原因を判断するためには非常に重要な情報です。
できるだけ、
- 商品名
- 購入した国・サイト
- 成分表示
- 服用した量
- 服用した日時
- 服用回数
- 一緒に飲んだ薬やサプリメント
- 症状が現れた時間
などを伝えましょう。
商品の箱やパッケージは捨てない
体調不良が起きた場合に備えて、個人輸入した医薬品のパッケージや説明書は保管しておくことをおすすめします。
医療機関を受診するときには、
薬そのものやパッケージ、成分表示を持参する
ことで、医師が状況を把握するための手掛かりになります。
通販サイトの商品ページや注文履歴なども残しておくとよいでしょう。
飲み合わせが原因になることもある
健康被害の原因は、個人輸入薬そのものだけとは限りません。
例えば、
- 病院から処方されている薬
- 市販薬
- サプリメント
- 健康食品
などとの組み合わせによって、薬の作用が強くなったり、副作用が生じたりする可能性があります。
持病がある人や複数の薬を服用している人が、医師に相談せず個人輸入薬を追加することには特に注意が必要です。
個人輸入薬は救済制度の対象になる?
日本には「医薬品副作用被害救済制度」があり、医薬品を適正に使用したにもかかわらず重篤な副作用が生じた場合、一定の条件を満たすことで医療費などの給付を受けられる仕組みがあります。
しかし、個人輸入した医薬品による健康被害は、原則としてこの制度の救済対象にはなりません。
国内で正規に流通する医薬品と個人輸入薬では、「万が一のときの支援」という点でも大きな違いがあります。
副作用だけではない「治療が遅れるリスク」
個人輸入薬について考えるときは、副作用以外にも注意したいことがあります。
それが、本来必要だった治療が遅れてしまうことです。
例えば、自分では軽い症状だと思って海外の薬を使用していても、その背景に別の病気が隠れている可能性があります。
薬によって一時的に症状が抑えられることで、病気の発見が遅れるケースも考えられます。
薬を入手できることと、正しい診断を受けられることは別の問題です。
個人輸入を検討する前に国内の選択肢も確認しよう
以前は「病院へ行く時間がない」という理由から個人輸入を選ぶ人もいましたが、現在はオンライン診療という選択肢も広がっています。
オンライン診療であれば、自宅などから医師の診察を受けられ、診療内容によっては薬を配送してもらえる場合があります。
個人輸入を利用する前に、
「国内で同じ治療を受けられないか」
を調べてみることも、安全性を考える上では重要です。
まとめ|異変を感じたら自己判断で服用を続けない
個人輸入薬による健康被害で怖いのは、何が原因なのか本人にも分からない場合があることです。
体調に異変を感じた場合は、
- 追加服用を自己判断で行わない
- 医師や薬剤師などの専門家に相談する
- 強い症状があれば速やかに受診する
- 使用した薬の情報を正確に伝える
- パッケージや購入記録を保管する
といった対応が重要です。
「海外から購入したことを伝えにくい」という理由で薬の情報を隠してしまうと、適切な診断や治療を妨げる可能性があります。
個人輸入薬を使用する場合には、購入時の価格や手軽さだけではなく、健康被害が起きたときにどうなるのかまで考えておくことが大切です。
